ピエール・ルグラ

Pierre Legras

http://www.champagne-pierre-legras.com/

「シャンパンといえば、熟成したブラン・ド・ブランにとどめをさす」と言われますが、瓶内二次発酵後の数年間の瓶熟成、および、デゴルジュマン後の糖とアミノ酸のメイラード反応等によって生まれる、ブリオッシュやローストしたナッツ、ビスケットなどを思わせる香ばしい風味に包まれたシャルドネは、美味以外の何ものでもありません。
コート・デ・ブランのシュイィ村にメゾン「ピエール・ルグラ」を運営するヴァンサン・ルグラは、このようなスタイルのシャンパン造りの達人であり、その作品の完成度は、ブラン・ド・ブランのニュースタンダードとなり得る次元に達していると思います。

17世紀末に創業したこのメゾンは、2001年までRMとして運営していましたが、2002年に10代目ヴァンサンが継承した際、畑や貯蔵古酒の相続のためにNMに登録変更し、メゾン名を1662年生まれの創業者の名をとって「ピエール・ルグラ」としました。(尚、ピエール氏はドン・ペリニヨン修道士と同時代に生きた人で、氏が33歳の頃、シャンパンが誕生したことになるそうです)。NMに変更後も変わらず自社畑のぶどうのみでシャンパンを造っており、今日も実質的にはRMです。
マルヌ川を挟んでアイの南に位置する「シュイィ」は、シャルドネがグランクリュの村ですが、ただでさえ畑の所有者数が少ないことに加え、ほとんどの生産者は大手メゾンにぶどうで販売するか、ピノノワールとブレンドするため、実際のシャンパンとしての
「Chouilly 100% Grand Cru」は極めて珍しい存在です。
「シャルドネを理想的に熟成させるためには、もともとのぶどうの酸が高くなければなりません。ここシュイィは、白亜質土壌に由来する酸とミネラルが、近隣のコート・デ・ブランの村々と比べても突出して強く出るテロワールですので、熟成に最適なシャルドネを収穫することができます」。
「熟成したブラン・ド・ブランにこだわる理由は、料理がより美味しくなるからです。食前・食後よりもむしろ食中においてこそ、真の姿を現します」(ヴァンサン・ルグラ)。