シャトー トゥール ド ミランボー

Chateau Tour de Mirambeau

http://www.despagne.fr

20年以上英国航空に採用される実績を誇るヨーロッパの名門シャトー

250年にわたり代々ワイン造りを行ってきた家系ですが他の農業との兼業で、ワイン造りに専念したのは父ジャン・ルイ氏の代からです。デスパーニュ家はジャン・ルイ氏の代になってからシャトー・トゥール・ド・ミランボーの畑を拡げ他のシャトーも購入していきますが、一家の始まりとなったのはトゥール・ド・ミランボー。このため、トゥール・ド・ミランボーは現在でもデスパーニュ家にとって全てが始まったかけがえのないシャトー、デスパーニュ家のシンボルとして特別な意味を持ち続けています。
ボルドーで最も早くステンレス・タンクを導入したシャトーの一つであり、そのためフレッシュなスタイルの白ワインがヨーロッパ、特にオランダやイギリスで名声を博しました。各地のワインショップで雪だるま式に有名になっていったのが、英国航空のバイヤーの目に留まります。そしてレゼルヴが機内サービスの白ワインとして採用され、主に国際線ビジネスクラスで20年以上に亘り採用され続けるという実績を誇ります。2001年には英国航空のベスト・サプライヤーとしての表彰も受けるほどです。また英国航空でミランボーを覚えた消費者が自国に帰ってからも探し求めてくれたお陰で世界中に名声が広まりました。

革新をもたらした型破りなボルドー人、先代のジャン・ルイ・デスパーニュ氏

父ジャン・ルイ氏はボルドーでワイン造りを学んだ後、1967年にアルゼンチンとチリに渡ります。ヒッチハイクをしながらの旅行が目的でしたが、その間の生計のため各地のワイナリーで仕事をするという型破りなボルドー人でした。その後徐々に北上していき、カリフォルニアに到達した時にロバート・モンダヴィ氏に出会い、ワイン造りを学びます。ここで覚えたカリフォルニアの最新のワイン造りをボルドーに戻ってから導入します。例えばステンレス・タンクや空気圧式の圧搾機で、これらは当時のボルドーとしては革新的な導入でした。また帰国当時は20haだった畑も徐々に拡大し、50haにまで拡げます(今日では88ha、持ちシャトー全てを合わせると300ha)。

あのモン・ペラの建て直しも行った現当主ティボー・デスバーニュ氏

現当主ティボー・デスパーニュ氏も父と同じくニュージーランド(マールボロのノビロ)、豪州(ブラウン・ブラザーズ)、カリフォルニア(クロ・デュ・ヴァル)、チリ(カサブランカ・ヴァレーのビリャール)等の海外でワイン造りを学んでいます。現在有名となっているモン・ペラを立て直したのもティボー。テロワールは素晴らしいが畑が荒廃していたシャトーに一目惚れして1998年に購入。父から「管理してみないか?」と任された事がきっかけとなりました。

世界を驚かせた高密植・新樽醗酵・オクソラインで生まれる超ド級ワイン「ジロラット」

このワインを語らずしてトゥール・ド・ミランボーを語ることは、もはやできないでしょう。2001年が初ヴィンテージの「ジロラット」は、シャトー・トゥール・ド・ミランボーの畑の中でも特に優れた、1ヘクタール当たり1万本という高密度の区画から、1本のブドウ樹に対して2?3房のみという低収量で栽培されたメルローを丁寧に除梗し、なんとそのままオークの新樽に放り込んで醗酵を行います。完熟して今にもはちきれんばかりのブドウが入ったオーク樽は、今は「オクソライン」として世に知られる回転式ラックに設置されます。醗酵の期間中ゆっくりと回転させることで、ブドウ果汁は樽と接触し、樽のタンニンが果汁のタンニンとよく溶け合い、結果的にワインはスケールの大きな、それでいて滑らかなワインへと進化します。そのワインはロバート・パーカー氏に「未だかつて、たいした名声もないアペラシオンでこんなに華々しく成功した者はいないだろう」と言わしめ、世界中の評価誌に注目を浴び、現在もボルドーのプリムール・テイスティングではメドックやサン・テミリオンなど銘醸シャトーと並んで評価されるジロラットは、こうして誕生したのです。

超!分厚い石灰岩層から生まれるミネラルと複雑さ

「アントル・ドゥ・メールの土地はポテンシャルが非常に高いと強く信じています」と熱く語るティボー。持っているシャトーそれぞれのテロワールの違いを表現するため、シャトー毎に醸造法や熟成法を変えることはしません。トゥール・ド・ミランボーは粘土石灰質。特に畑の下に眠る分厚い石灰質土壌のお陰で、白ワインに爽やかさを与える事が出来ます。ジャン・ピエール・グジニエ氏というコンサルタントが地質を分析。そのお陰で各品種に最適な畑を選ぶ事が出来るのです。

収量よりもブドウ樹1本あたりの房数の方が重要

収量を重要視する声もありますが、ヘクタールあたりの収穫量よりもブドウ樹1本あたりの房数の方が重要と考えるティボー。メルロー:8房、カベルネ・ソーヴィニヨン&カベルネ・フラン:8から10房、ソーヴィニヨン・ブラン:10房、セミヨン:8房が理想的と考えます。ソーヴィニヨン・ブランの特徴を出すためにはゆっくり成熟させる必要があります。そのため、ソーヴィニヨン・ブランは敢えて北向きに植えています。黒ブドウではトゥール・ド・ミランボーの畑にはメルローが適していますが、メルローは十分にコントロールできているので、今後はカベルネ・ソーヴィニヨンにチャレンジしたいと考えます。カベルネは深みを出す事が出来るので、これによって更に良いものを目指したいという思いです。栽培方法は出来る限り農薬等の化学物質を使わないリュット・レゾネを実践しています。

「とにかくブドウに優しい醸造を」

「とにかくブドウに優しい醸造を。ブドウを尊重してワインを造っています」とティボーは語ります。醸造過程でワインの移動にはポンプは全く使用せず、ブドウはタンクに直接入れます。タンニンの抽出は醸造過程の中でも大切な時期で、五感を駆使して考慮に考慮を重ねた上で判断しなければなりません。そのため、ルモンタージュは24時間体制でスタッフが交代で行います。最高のコンディション中で最良のタンニンのみを抽出させる為に、タンク毎に注意深く見守らなければなりません。そして時期を見計らってルモンタージュの回数を減らします。