ドメーヌ・デュ・ジョンシエ

Domaine du Joncier

1964年にピエール・ルッセルにより設立されたこの醸造所は、ローヌ河を挟んでシャトーヌフ・デュ・パプの対岸、タヴェルに位置している。1989年にパリでグラフィックデザイナーとして働いていた娘のマリーヌが帰郷し、ドメーヌを継承。以来、彼女のワイン造りへの大きな熱意の下、ドメーヌ・デュ・ジョンシエはテロワールと果実を重視したワイン造りを続けている。

32haの所有畑はリラックとタヴェルに広がっており、手がけるワインの9割以上が、グルナッシュを主とした赤やロゼ。栽培と醸造にはビオディナミを採用しており、2007年にはエコセールの認証も取得している。機械や薬剤を用いて除草を行わない畑の土壌は古い沖積土で、丸く磨かれた大きな石が多く、ブドウの樹は養分を求めて地中深くまで根を伸ばす。更に、エキスが凝縮されたブドウを得るため、収量は平均30-35hl/haまで厳しく制限し、ブドウが完熟するまで収穫を待つなど、このクラスのワインとしては考えられないほどの労力を惜しみなく注いでいる。また、ワインのキャラクターをストレートに表現するため、清澄やろ過を行わない醸造スタイルである。

知名度が低く、過小評価されがちなリラックだが、ワイン造りの歴史は古く、2000年前にまでさかのぼることができる。コート・デュ・ローヌ発祥の地としても有名であり、その功績から、1947年という早い時期にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの独立したクリュとして認定された。そんな由緒正しい土地にて彼女が手がけるワインは、リッチで香り高く、シャトーヌフ・デュ・パプを彷彿とさせる果実の凝縮感と完熟度を持ちあわせている。無名ながらも、美しいワインを手掛ける見逃しがたい優良生産者である。