ロッカ・デイ・モリ

Rocca dei Mori

D.O.C.コペルティーノの中の、モンテローニ・ディ・レッチェにある全くの家族経営の生産者です。
ワイン造りの歴史は1870年に遡ります。二代目が施設を新設し、畑をおこしました。さらに三代目が1960年に会社を設立し、1975年には瓶詰め装置を導入して、ワインの元詰めと自社ブランドのラベルの使用を開始しました。
1995年からは、葡萄園を増やしワイン造りや熟成の最新技術を駆使することにより、世界中へ輸出を始め、成功を収めました。現在、兄が社長、弟がエノロゴで、この二人を中心に7人で構成しています。新しいヴィンテージへの切り替わりが比較的遅く、しかも熟成がゆっくり進んでいくのは、熟成出来るワインを造ろうとしているからです。そのために、収穫から醗酵まで全ての過程でそうなるようにしています。

所有する自社畑は50haで、内訳は35%がコペルティーノ、25%がスクインツァーノ、その他となっています。さらに80haのアグノロモ指導の契約農家からの買い取り葡萄を使用しています。単に葡萄を買うというより土地を借りて葡萄を造ってもらうというイメージで、1kg幾らではなく、1ha幾らという単位で買い取ります。
プーリアは元々雨が少なく乾燥しているので、農薬は雨の多い年には使用しますが、それ以外は何も使いません。葡萄は1本の樹に2~3房しか付けません。収穫は夜中か早朝に100%手摘みで行い、良い葡萄のみ箱に入れます。収穫量は法定収穫量の1/3の30hl/haです。葡萄を食べるとジャムの味がします。
プリミティーヴォはたくましい葡萄なので、天然偶発酵母を使用。ネグロアマーロはデリケートなので、酸化したようなニュアンスにならないよう天然人工酵母を使います。
醗酵中も醗酵が終わっても、ポンプでピジャージュを行います。マセラシオンは長く、1ヶ月以上になることもあります。
印象的な香りは、酵母によるものです。長い発酵、熟成をするといろいろな力を溜め込むので、それを除去してしまうフィルターは使いません。また、バリックから瓶詰めするとショックを受けるので、一度大きな樽に入れてからボトリングします。
品質へのこだわりはコルクにも現れており、コルク会社が造る最高の規格のものだけを使っています(通常の5~10倍の価格)。また漂白しないため、コルクの色が悪く見えます。その年の作柄によって、造るワインを変えています。良いヴィンテージのみ上のクラスのワインを造り、そうでない年はオンリイ・ロッソを造ります。格下げや生産量を減らす生産者はいますが、ここまで徹底した生産者は他に知りません。
印象的だったのは、「良いワインを造ることは重要だが、人の印象に残るワインを造りたい。10人中9人に嫌われてもいいから、ロッカ・デイ・モリだと分かってもらえるワインをめざしたい。」という言葉でした。

「ロッカ・デイ・モリ」とは、「トルコ人の大きな石」という意味で、オスマントルコが攻めて来た際の首切り台の石のことです。また、ワイン名のブリアコやウイリエーザは、父親の代から使っていて、名前とデザインは昔ユーゴスラビア人に頼んだため、意味は誰も知らないとのことでした。