ヴェーニンガー
Weninger
http://www.weninger.com/ワイナリー
ブドウ畑に囲まれている村ホリチョン、いや、村のかなりの面積をブドウ畑が占めているといった方が適切かもしれません。ワイナリー・ヴェーニンガーは村の中心に位置し、ここもまた、ブドウが至る所を占領しています。セラーを、職人の手を、そして頭の中を。この場所では、何世代にも渡ってワインが造られてきました。以前は樽を、1982年からは瓶詰めしたワインが販売されるようになりました。いかなる大きさの樽であってもフランツ・ヴェーニンガーは、ワインが細心の注意を払って醸造されるよう、常に心がけてきました。そして2006年からはビオディナミに転換してこの基準に従ってワインを造っています。
フランツ・ヴェーニンガーは、ブドウ畑に最大の注意を払っていますが、セラーでも心がけていることがあります。木製の発酵槽にはこのワイナリー独自の天然酵母しか使用せず、その後木製の小樽で寝かせることで、ワインは調和のとれた総合芸術へと熟成していきます。ただし、フランツ・ヴェーニンガー曰く「ワイン醸造者は、ブドウの実の中にすでにあるものしか取り出すことはできない」。そのために、ブドウを植栽するに際には、適切な土壌と水と環境が必要であり、それは、1メートルごとに変わってきます。このため、品種に合った土壌、土壌に合った品種はフランツにとって非常に大きな関心事なのです。その情熱はワインに反映され、飲む側にも伝わります。
1998年にライムンド・ディッキンガーとクリソ・ラインフェルナー両氏の建築家によって設計され、建設された新しいワイナリーは、ミッテルブルゲンランド一帯で典型的な細長い中庭を持ちます。全体が南向きで、ブドウと人が太陽をたっぷり浴びる構造をしています。木樽が並び、ビン詰めが行われ、テイスティングルームとオフィスがある地下室は広々としており、従業員にとっても居心地のいい雰囲気を醸し出しています。階上には、バルコニー付のゲストルームがあり、ワイン好きの来訪者がゆったりした時間を過ごせるように設えてあります。
ワイン生産者
フランツ・ヴェーニンガーは30才の時、1982年に親から小さなワイナリーを引き継ぎました。当時のブドウ畑の面積はたったの7ヘクタール、それでも、一年目にして、ブラウフレンキッシュ・キャビネット1983は国際的に高い評価を受けました。このように、当初から有望視され、順調に歩み出したフランツは、品質を向上させながらブドウ畑は徐々に拡大していきました。現在、ブドウ畑の面積は28ヘクタールまでになりました。ヴェーニンガーは今では、国内外においてトップの生産者グループの中に含まれています。かつて家族だけで経営していたワイナリーも従業員が増え大きくはなりましたが、それでも、現在もワイナリーにおいて家族が重要な役割を果たしています。日常では、従業員の一員として管理業務、プレミアムワインの名付け親として、あるいは独自にワインに関する経験を積んでいる次世代の担い手として、家族のメンバーがワイナリーで働いています。
ハンガリー‐国境を越えて広がる視界
ホリチョンからは遠く、国境を越えて視界が広がります。フランツ・ヴェーニンガーは以前から好奇心旺盛に遠くを眺め、1992年には、ヴィラニーに、ハンガリーの同業者アティラ・ゲレと共同でヴェーニンガー&ゲレ・ワイナリーを創立しました。ハンガリーの飲食業界はこの提携に感銘を受け、初年度にして、製品は売り切れとなりました。以来、地中海性と大陸性気候を合わせ持ったこの地域にある13ヘクタールの畑から素晴らしい赤ワインが生産されています。ワインはステンレスタンクの中で、温度を調整しながら発酵し、オークの小樽に移され、3週間後にマロラクティック発酵が始まり、熟成します。ワインは、南の果実特有の個性を含み、ヴェーニンガーの人気ある他の品種、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、これにわずかにカベルネ・フランを加えブレンドされ、フェニックスの名前のキュベで、ハンガリー固有種ケクフランコスが圧倒的なシェアを持つ市場において、最高の結果をもたらしています。
国境からそう遠くない所、ショプロン近郊にバルフの村があります。フランツ・ヴェーニンガーは1997年に、シュペルン・シュタイナーとフレットナーという2カ所の単一畑でブドウ畑を購入しました。いずれもハンガリーでも最高の単一畑に数えられ、何百年も前からブドウが栽培されていました。2000年からこのワイナリーの経営は息子のフランツ・ラインハルド・ヴェーニンガーが任されており、ハンガリーのワイン業界でも成功をおさめています。2006年にはハンガリーのワイン雑誌「ボルバラート」で、ハンガリーで最も人気あるワインの7位に入りました。
ブドウ畑
ブドウ畑の区画は小さく、分散していることも多く、その後一つにまとめらているところはあまりありません。それでも、畑では立派なブドウの実が熟しています。更に、すばらしいワインが造られます。合計28ヘクタールある5カ所の単一畑では、いろいろな品種のブドウが収穫されます。ブラウフレンキッシュ、メルロー、ツヴァイゲルト、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールそして、サンクト・ラウレントといった品種からは、単一品種のワインあるいは、ブレンドされたキュべが造られます。ヴェーニンガー家は、以前から厳しい基準を設けてワインづくりをしてきているため、ビオディナミック農法への転換は(経験豊富な農業生態学者アンドリュー・ローランド氏の指導のもと)、自然に近い農業への当然の一歩であり、これによって、品質も更に向上すると考えています。ブドウ畑では、ビオディナミック栽培によるお茶が散布され、ベーキングパウダーおよび自家のコンポストを使っています。殺虫剤、化学除草剤あるいはその他の噴霧剤は一切使っていません。
新しくなったブラウフレンキッシュのボックスの外側には「土壌を味わってください」と書かれています。長年のワイン醸造の経験によって、ワインの味の決め手となるのは、局地気候と同時に土壌であることを再三実感してきました。
わが社の最高の区画畑(ミッテルブルゲンラントのホッホエッカー、キルヒホルツ、ズュートブルゲンラントのザイブリッツそしてソプロン近郊バルフのシュペルン・シュタイナー畑)から、多様な味覚をぜひ、ご賞味いただければと願っています。このコレクションで特徴的なのは:同じ品種から造られたワインでありながら、土壌が異なるために、根本的に味わいの異なるワインであるという点です。
ブラウフレンキッシュのボックスは、テイスティングをしながら飲み比べるのがお好きな方のために用意しました。お勧めする飲み方は:すべてのボトルを同時に開け、ブラインド・テイスティングをおこなう方法です。ボックスには、飲み比べた後に読んでいただく覚書も入っています。ウィーンの連邦地質局の専門家による土壌の分析結果、および土壌がワインにどのような作用があるかも書かれています。