杉井酒造 杉錦 純米 エドノアキザケ

Sugiishuzo Suginishiki Junmai Edonoakizake

明治時代に来日したエドワード・キンチという人の分析によると明治初期の日本酒の酸度は4~5くらいあるのが普通でした。江戸時代の酒も同じだったと思われます。
当時は蔵内に住んでいる乳酸菌が、木製の仕込み桶はもちろん暖気樽や酒造道具より醪に侵入して酸度を自然に高くしていたはずです。精米歩合も高く、醗酵温度が高めだったことも酸度が高くなる要因でした。
当時の酒質を再現しようとして生酛で仕込んだり、精米歩合を江戸時代並みに高くしても現代の酒造環境は清潔で乳酸菌の侵入はほとんどおこらないので、健全に醗酵した醪の酸度は2程度にしかなりません。
そこで今回江戸時代のように酸度の高い酒を再現する手段として、麹の半分ほどをクエン酸を造る白麹にして醪の酸度を高くすることを試してみました。江戸時代のように酒母は酵母無添加の生酛を使いました。米は主に誉富士の70%です。
結果として醪で酸度は3.9、日本酒度+5、アルコール度数19%ほどの醪ができました。通常日本酒の酸度は琥珀酸、乳酸、リンゴ酸の順ですが、この酒ではクエン酸が多くなっています。かなり厚みのある味わいになったのでアルコール度数14.4%まで割水しました。日本酒度は+4.5ほどなので甘みも感じ、酸もしっかりあるので割水後も飲みごたえのある味わいです。室温で夏を越して熟成させましたが、瓶貯蔵なので熟度は若めです。脂の乗った秋刀魚の塩焼きやブリの照り焼きなどと合うと思います。
総米200kg程の試験醸造ですので少量の限定発売です。
蔵元より