カール エルベス ユルツィガー イン デア クランクライ シュペートレーゼ

Weingut Karl Erbes Urziger in der Kranklei Spatlese

カール エルベス ユルツィガー イン デア クランクライ シュペートレーゼ

以前、ユルツィッヒ村にあったいくつかの単一畑は、1971年に改定されたドイツワイン法によって、ユルツィガー・ヴュルツガルテンの総合畑に統合されました。ユルツィッヒ村にあるワイン畑名は、ヴュルツガルテンと僅か0.3haのゴールドヴィンゲルトの単一畑となりました。クランクライの区画(0.2ha)は、そのゴールドヴィンゲルトの上部に位置しています。
もともと単一畑であったクランクライは、ゴールドヴィンゲルト同様に、テロワールに他とは大きな違いがありました。そのため、当然ワインにしたときに違いが生まれます。エルベス家では、いつもこの区画を特別に扱い、単独でワインを醸造していて、ユルツィガー ヴュルツガルテンと明記されたラベルの下に“クランクライ”と記していました。
クランクライは昔は知名度の非常に高い畑で、驚くことに、この畑の樹はフィロキセラ時代を乗り切り、今だに100年以上のオリジナル(接ぎ木していない)のリースリングが残っている区画です。エルベス家はその点からも、このクランクライには大きな敬意と誇りをもっているのです。

カール・エルベスの畑の様子を撮影した映像。断崖絶壁の急斜面に広がる畑で知られる、ユルツィガー・ヴュルツガルテン。その様子がわかる、壮大な映像です。

カール エルベス

創設者のカール・エルベスは、30年余り有名なクリストフェル・ベレス家のケラーマイスターをしていました。所有する葡萄畑のすべてが非常に厳しい農作業を強いられる急斜面で、耕作や収穫など殆どの作業が手で行なわれています。息子で現当主のシュテファンは、注意深い葡萄の選別により★から★★★ ゴールトカプセルまでの異なったレベルのアウスレーゼを造ることで、中部モーゼルのトップ生産者としての評価を得ることを目指しています。これまでは澱引きのため樽移しをしていましたが、これを新たに瓶詰の2週間前まで澱と寝かせるようにしました。ワインがストレスを感じなくなり、澱がアロマをもたらします。ただし、フィルターにかける手間が数倍大変になるそうです。2009年にニューマティックプレスを導入しました。

所有する畑の中でもユルツィガー・ヴュルツガルテンは畑というよりはむしろ崖と言った方がよく、しかもあちこちに粘板岩の岩板が露出し、農作業中に足でも滑らせたら谷底まで転げ落ち、場合によっては命をも落としかねない、といった所です。他のどこよりも厳しい農作業を強いられる畑です。通常は下から上へ作業をするのですが、あまりに急斜面のため横に移動して摘み取ります。エルベスの畑に一度でも行ったことがある人なら、労働に対して世界で最も安いワインと言っても当然だと思うことでしょう。いつも品質が安定しており、まさにリースリングの芸術品とも言える味わいを醸し出しています。