テルトル・ド・ラ・ムレール
Chateau Tertre de la Mouleyre

テルトル・ロートブッフで栽培、醸造を務めていたエリック氏、そしてテルトル・ロートブッフ醸造長のフランソワ・ミジャヴィル氏の娘でありエリック氏の妻、ニナ女史の若い夫婦が造るワインがこのテルトル・ド・ラ・ムレールです。
わずか1.6haの小さな畑からは、知る人ぞ知るサンテミリオンの地酒が生まれています。小さな畑であるメリットを生かし、自社瓶詰め前となる1994年からビオロジック栽培を選択しているためか、果実味にエネルギーを感じます。畑作業への丹念な仕事ぶりは別格です。
テルトル・ド・ラ・ムレールではロートブッフと同様、徹底した完熟ブドウを用い、同様の哲学でワインを造っているとのことです。
いまはまだ無名のシャトーですが、これから先評論家に見出されて高騰してしまうのか、知る人ぞ知る銘酒のままでいるのかはわかりませんが、宣伝文句の多いワインであることは間違いありません。
テルトル・ド・ラ・ムレール
テルトル・ド・ラ・ムレールはサンテミリオンの東に位置するSaint-Etienne-de-Lisse
(サン=テティエンヌ・ド・リス)村にわずか1.66haの畑から生産されています。近くにはヴァランドローやロル・ヴァランタン、また2010年にグランクリュクラッセに昇格したフルール・カーディナル等の畑が隣接しています。
1950年、現当主のエリック氏の母方の両親はサンテミリオンに5haとカスティオンに2haのブドウ畑を購入しました。1983年にお爺さんが亡くなり、エリックの両親が管理する事になりましたが、経済的に問題があったので畑を少しずつ売却し、現在の1.66haが残り、1994年からエリックが管理するようにました。
エリックはヴィンテージの特徴を捉え、フルーティーなワインを作る事を心がけています。彼は6歳の時からお爺さんと一緒に畑で仕事を手伝い、8歳の時には一人でブドウの管理をする事が出来ていました。1994年からワインを生産しており、ブドウ畑ではビオロジック栽培を実践。2001年からオーガニック、カリテフランス認証を受けています。畑の樹齢は40年で6区画に分かれておりトラクターは使わず全ての作業は手で行っています。もちろん収穫も手で行い区画毎に収穫しタンクへ運びます。
醸造は自然酵母で発酵を行い、ボルドーの伝統的な方法を用い約3週間のキュヴェゾン。又温度が30度以上になった場合はデレスタージュを行い温度を下げます。マロラクティック醗酵はタンクで行い全体の65%は新樽。残りの35%はタンクで約16カ月間の熟成を行います。彼はこのワイン造り以外に2004年よりシャトー
テルトル・ロートブッフでも働いており、畑と醸造の管理もしています。また、テルトル・ロートブフのオーナーでもあるフランソワ・ミジャヴィル氏の娘ニナさんは彼の妻であり、現在はこのワイン造りにも参加しています。
栽培について
葡萄の成長をよく観察し、病気にならないように予防すること。非常にシンプルな考え方です。テルトル・ロートブフのミジャヴィル氏とは同じ考え方でよく意見交換もしています。葡萄は過熟手前の完熟状態で収穫します。葡萄が完熟することによって、醸造時に発生する香りをよく抽出することが出来ます。また、葡萄本来の香りは、熟成によって失われますが、醸造によって得られた香りは熟成することにより安定し、経年によってより綺麗な熟成の香りになると考えています。